病院指標(令和2年度)

病院指標とは

DPCデータから全国統一の定義と形式に基づいて作成した指標のことで、病院の実態をあらわす診療実績とは異なるものです。DPCによる指標の公開は、市民の皆さまに当院の特徴や急性期医療の現状を理解していただくことを目的としています。こうしたデータをもとに当院では、さらなる医療の質向上に向け、質改善活動を行っています。

当院では指標の公開にあたり、医療機関ホームページガイドラインを遵守しています。

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 18 101 176 166 362 524 661 1,414 1,426 546
令和2年4月1日から令和3年3月31日までの当院を退院された患者数について年齢階級別に集計した件数です。
当院は「心の通う、温もりある医療」の理念のもと、地域の中核病院として、1歳から105歳までと幅広い年齢層の患者さまにご来院いただいています。
全体の割合として60歳代以上の患者さまの割合が75.0%となっており、高島平の地域性が反映されています。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 112 3.90 4.94 0.89% 71.0
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-4あり 副傷病なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 109 16.04 15.64 34.86% 73.4
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 81 6.20 8.18 6.17% 72.1
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 58 7.38 7.48 8.62% 61.4
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 51 22.08 18.86 56.86% 69.9
脳神経外科で最も多い疾患は前庭機能障害ですが、眩暈と診断された患者さまがここに分類されます。通常は外来治療で済みますが、症状が重篤な患者さまについては、入院にて眩暈や嘔気をとるために点滴による治療を行います。約5日程度で退院となります。
次に脳梗塞ですが、当院に入院した脳梗塞患者さまのうち、最も多かったのは意識障害の程度が比較的軽い(JCS10未満)症例であり、抗血小板薬・抗凝固薬や脳保護剤等による投薬加療した患者さまです。脳梗塞の重症度により在院日数は異なりますが、リハビリを行い退院される方もいれば、更なるリハビリ加療を続けるためにリハビリの専門病院に転院される方もいます。
また、頭蓋・頭蓋内損傷ですが、頭部に外傷を受け、脳震盪、脳挫傷、外傷性くも膜下出血等を起こした患者さまがここに分類されます。多くの方は点滴等による保存的加療で軽快しますが、中には緊急で手術が必要な場合もあります。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 258 27.23 25.09 59.30% 83.4
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 63 23.25 18.81 47.62% 81.9
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし 63 3.87 5.18 0.00% 53.8
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 44 24.59 23.36 11.36 76.1
160850xx01xxxx 足関節・足部の骨折・脱臼 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足) 38 23.76 18.74 15.79% 58.6
整形外科で最も多く治療している疾患は、大腿骨近位部骨折(太ももの骨の股関節に近い部分の骨折)の患者さまです。高齢の方に多い4大骨折のうちの一つです。大腿骨の骨折部位により人工骨頭挿入術、骨折観血的手術などを行います。骨折を契機に寝たきりとならないよう、早期からリハビリを開始し自立と自宅復帰を目指します。この疾患は自立まで長期間を要するため、多くの患者さまがリハビリ専門病院へ転院し、更なるリハビリ加療を続けております。近隣の医療機関と連携をとりながら、患者さまの転院の要望にも応えられるよう体制を整えております。
次に胸椎、腰椎以下骨折損傷では、胸椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折の患者さまが多くなっています。骨折の形態により手術を行いますが、多くの方はコルセットを装着し、リハビリを進めながら骨癒合を待ちます。3週間程度で退院しますが、リハビリ病院へ転院する患者さまも多くおられます。
次に前腕の骨折ですが、肘から手首までの骨の骨折で、手のひらや手の甲をついて転倒した際に生じます。整復固定、観血的手術、抜釘術などが行われます。手術後はリハビリを行い、比較的短い入院期間で退院します。

消化器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 232 2.12 2.66 0.00% 66.2
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 70 7.44 7.74 2.86% 56.0
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 56 7.21 4.86 0.00% 68.4
060390xxxxx0xx 細菌性腸炎 手術・処置等2なし 51 8.20 7.43 1.96% 46.9
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等2な 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 43 8.81 9.08 9.30% 73.5
消化器では最も多い疾患は、小腸大腸の良性疾患です。内視鏡検査で認めたポリープやその他の隆起性病変を切除・治療します。ポリープを回収して組織検査することで、良性・悪性の診断をします。1泊2日で退院可能です。
次に憩室性疾患(手術なし)です。憩室とは消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)の壁の弱いところにポケット状のくぼみを形成したもので、その憩室にたまった便により感染を起こしたり、憩室の炎症や硬い便など機械的刺激による出血も見られます。安静と抗菌薬の使用、絶食などの食事管理により約1週間ほどで退院となります。
次に鼠径ヘルニアです。左右の大腿の付け根部分に腸管や脂肪が、ヘルニアとなって膨隆した状態です。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
11012xxx99xxxx 上部尿路疾患 手術なし 45 3.40 6.64 0.00% 53.3
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 32 6.28 7.13 0.00% 70.8
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 32 5.44 2.54 0.00% 72.6
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり 17 8.65 8.43 0.00% 74.2
11022xxx99xxxx 男性生殖器疾患 手術なし 14 5.79 9.28 7.14 62.8
泌尿器科では、上部尿路疾患が最も多い症例となっています。尿管結石、腎結石、腎盂や尿管の良性腫瘍、腎のう胞などの疾患をいいますが、当院では、尿管結石、腎結石の患者さまが多くなっています。尿管結石、腎結石に対しては、自然排石が期待できる場合は薬物療法にて治療します。薬物療法で改善されない場合は入院の上、レーザー治療による砕石や、尿管が塞がらないように尿管にステント(直径1.5〜2mm程の管)留置を行います。
次に膀胱がんに対する経尿道的手術です。尿道から手術用の内視鏡を挿入し、病巣部を切除します。
次に前立腺がんが疑われたときに行う前立腺針生検法の症例です。針生検とは、前立腺の組織標本を直接顕微鏡で観察して、悪性(がん)か良性かを判断するものです。

内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 56 30.11 20.51 28.57% 87.2
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 40 30.80 17.23 30.00% 85.6
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 39 15.00 13.00 12.82 83.1
100380xxxxxxxx 体液量減少症 31 18.26 10.51 6.45% 76.2
170020xxxxxx0x 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 副傷病なし 21 2.10 3.74 4.76% 49.5
内科では、高齢者が多く罹患する誤嚥性肺炎という呼吸器疾患や尿が膀胱から体外へ排出されるまでの通路(尿道)に細菌が住み着き、増殖して炎症を起こす尿路感染症の件数が上位に上がっています。
誤嚥性肺炎は、嚥下機能(飲み込む力が衰え)の低下によって、細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。食事をお休みして点滴や抗生物質治療を行います。
次に心不全です。心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった状態をいい、症状として息切れやむくみがあります。治療としては、点滴や内服薬による心臓の負担軽減と感染症等の誘因の除去が中心になります。

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 35 5.63 6.02 0.00% 63.1
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 18 9.56 10.30 0.00% 65.6
090010xx99x4xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2-4あり 10 2.00 4.15 0.00% 60.8
090010xx99x6xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2-6あり - - - - -
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり - - - - -
乳腺外科では、乳がんをはじめとする乳腺疾患全般にわたる診断(触診、マンモグラフィや乳腺超音波検査など)を行い、患者さまに合った効果的な治療治療(手術・術前・術後化学療法・内分療法・対症療法など)を行っています。
※10症例未満場合、-(ハイフン)で表示しております。

腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 29 12.21 11.04 10.34% 72.3
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 10 27.40 20.51 40.00% 83.5
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-1あり 10 10.80 14.01 10.00% 68.8
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - - - -
180010x0xxx2xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2-2あり - - - - -
腎臓内科では、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、高血圧や糖尿病による腎機能障害、様々な原因による急性及び慢性腎不全等の内科的腎疾患を扱います。
腎臓病は早期には全く症状がない場合が多く、発見された際には既に腎不全に至っている場合があり、末期腎不全に至ると、血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれかの腎代替療法が必要となります。
当院では現在、血液透析の導入を行っており、腹膜透析や腎移植を希望される患者さまは関連医療機関へご紹介しております。
腎臓病だけでなく、他の疾患も合併されている場合には、その担当科と連携して診療にあたります。
※10症例未満場合、-(ハイフン)で表示しております。

糖尿病・内分泌代謝内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2-1あり 45 14.58 14.60 4.44% 64.9
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 32 30.34 20.51 28.13% 85.6
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 29 23.59 13.00 20.69% 82.9
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 11 16.36 12.87 9.09% 76.7
100380xxxxxxxx 体液量減少症 11 19.82 10.51 36.36% 83.6
糖尿病・内分泌代謝内科の症例で最も多いのは、2型糖尿病(遺伝的な素因に肥満等が加わって発症)の教育、血糖コントロールでの入院です。社会的背景に基づいて、最適な治療法を決定することが目的となっています。
また、血糖値の高い患者さんが他の診療科で手術をする前に、入院して血糖コントロールを行う場合、その他感染症に伴う高血糖や低血糖による入院、インスリン導入目的によるもの等があります。
その他、高齢者が多く罹患する誤嚥性肺炎や尿が腎臓から体外へと排出されるまでの尿路で細菌が増殖して炎症を起こす尿路感染症の件数が上位に上がっています。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 82 2.00 2.76 0.00% 74.4
当院では、白内障に対する手術を行っています。白内障とは、眼の水晶体と呼ばれる部分が濁って視力が低下する疾患です。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 11 3 12 22 5 9 1 8
大腸癌 24 17 16 38 8 26 1 8
乳癌 21 27 12 3 4 2 1 8
肺癌 0 0 1 0 3 0 1 8
肝癌 0 0 0 0 1 0 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
がんの進行度合いは0、I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの5つのステージで表され、ステージⅣが最も進行したがんとなります。
ステージの判定は、①がんの大きさ(広がり)、②リンパ節への転移の有無、③他の臓器への転表は、5大がんに対して当院で入院診療を行った患者さまの件数を初発・再発別、初発の場合はさらにステージ別で集計したものです。移次の3つの要素を基に決められます。
当院では胃がん、大腸がん、乳がんの件数が多くなっています。健康診断や人間ドック等で陽性が疑われた方が精密検査を受けることで発見されやすいがんとなっています。
消化管のがんははじめ粘膜に生じ、徐々に粘膜の下層に浸潤していきます。初期のステージのがんに対しては、EMR(内視鏡的粘膜切開術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)といった低侵襲の内視鏡治療が行われます。
さらに進行したがんに対しては、外科的手術をはじめ、抗癌剤による化学療法を行っており、患者さまにとって最良の医療が提供できるよう努めております。
乳がんについては、当院は乳頭・乳輪を残した上で、がんを周囲の正常乳腺を含めて部分的に切除し、乳房の変形が軽度になるように形を整える乳房部分切除を行っております。進行したがんについては、消化器同様に化学療法や、他院での放射線治療を行っております。
肺がん、肝がんについては、当院での症例は多くありませんが、当院は他の医療機関との連携体制も充実しており、患者さまのご希望があれば専門の病院を紹介させていただくことも可能です。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 2 46.5 60.0
中等症 37 23.5 79.6
重症 26 19.2 81.0
超重症 29 31.0 83.6
不明 0 0 0
市中肺炎とは、自宅などで生活していてかかる肺炎のことで、病院に入院していてかかる院内肺炎と区別されます。
肺炎重症度分類の定義(A-DROPスコア)に基づき入院時に状態から重症度を決定しております。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
A-DROPシステム
A(Age):男性70歳以上、女性75歳以上
D(Dehydration):BUN 21mg/dl以上または脱水あり
R(Respiration):SpO2 90%以下(PaO2 60torr以下)
O(Orientation):意識障害あり
P(Pressure):血圧(収縮期)90mmHg以下
上記の指標のうち、
軽症:上記指標のいずれも満足しないもの
中等度:上記指標の1つまたは2つを有するもの
重症:上記指標の3つ以上を有するもの。ただし意識障害・ショックがあれば1項目のみでも重症とする
超重症:上記指標の4つまたは5つを有するもの
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
全体的な傾向としては、中等症の患者さまが最も多く、全体の半数近くを占めること、重症度が上がるにつれ平均在院日数も伸びる傾向にあること、高齢になるほど重症化しやすい傾向があることが挙げられます。
肺炎治療の標準的なガイドラインでは、軽症の場合(重症度0)は外来での通院治療を基本とするため入院加療の件数は多くはありませんが、併存症などの患者背景を考慮し、医学上必要と判断される場合は軽症であっても入院加療を行います

脳梗塞の患者数等

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発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 336 21.9 76.9 42.86%
その他 7 27.4 79.6 57.14%
医療資源の最も投入した傷病名が脳梗塞(ICD:I63$)の患者さまを対象として、発症日から入院までの日数別に患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。
多くの方が発症後3日以内に来院されます。脳梗塞の治療は一刻を争い、その後の患者さまのQOLを大きく左右するものであるため、当院ではt-PA(血栓溶解)や血管内手術(血栓回収療法)など積極的に治療を行い、24時間・365日迅速に医療を提供できるよう体制の確保に努めています。
入院中は、点滴治療を行うとともに発症早期からリハビリを行い、自立を目指します。脳梗塞の急性期治療を終了した患者さまのうち6割は自宅退院または元の施設へ戻られます。
残りの4割の患者さまは更なるリハビリを行うため、リハビリ専門病院等へ転院します。当院は他の医療機関と連携し、リハビリを必要とする患者さまには専門の病院を紹介します。また、引き続きリハビリが必要な患者さまに対しては外来でのリハビリを行っています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 31 0.58 24.77 58.06% 81.7
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 28 0.64 17.39 28.57% 81.5
K178-2 経皮的脳血管形成術 20 3.55 25.75 55.00% 72.0
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 16 4.94 14.63 31.25% 76.6
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 12 6.42 10.08 0.00 61.4
脳梗塞に対しては発症から4、5時間以内では、アルテプラーゼ(t-PA)を用いた血栓溶解療法が有効とされています。しかしながらt-PAを投与しても症状が改善しない場合や発症からすでに4、5時間以上を経過している脳梗塞急性期症例などに対してカテーテルを用いた経皮的血栓回収術を行い、閉塞した脳血管の再開通させ症状の改善を図ります。
慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は、頭部外傷1~2ヶ月後に脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血が溜まり、血腫が脳を圧迫する病気(慢性硬膜下血腫)に対して行います。通常、局所麻酔下にて、頭蓋骨に小さな穴を開け、血腫を取り除き、洗浄します。当院では高齢の方が多いため約2週間の入院を要します。
下垂体腫瘍に対しては、低侵襲な内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術を行い、術後病理診断に基づいて、放射線治療や化学療法を必要に応じて行います。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿) 189 2.38 20.37 41.80% 80.1
K0811 人工骨頭挿入術(肩、股) 124 4.28 22.03 65.32% 82.0
K0462 骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨) 113 1.84 9.74 9.73% 60.4
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 87 1.67 20.23 11.49% 72.0
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕、下腿) 65 0.55 1.74 0.00% 46.4
骨折観血的手術は当院で最も多い手術です。特に高齢者の方は転倒により、股関節に近い大腿骨や上腕、前腕、下腿と骨折することが多く、骨折観血的手術(金属製のプレートやネジなどを使って骨折部を固定)を受けられる方が多くなっています。入院後3日以内に手術を施行し、術後はリハビリを実施して、骨折部位によって異なりますが、約3週間ほどには退院しますが、更なるリハビリが必要な患者さまについては、近隣のリハビリ専門病院に転院も行っています。
次に人工骨頭挿入術です。股関節の骨(大腿骨頚部)が骨折した場合や大腿骨の骨頭が壊死してしまった場合に行われる手術で、大腿骨の骨頭を人工のものに置き換えるという手術です。 大腿骨頚部は折れやすい形状で、固定が難しく治りにくい環境にある為このような手術を行います。入院期間としては、1ヶ月以内には退院・転院できます。骨折部位や年齢によって術後退院までの日数は異なってきます。

消化器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 218 0.08 1.05 0.00% 65.8
K6335 鼠径ヘルニア手術 44 1.66 4.95 0.00% 70.4
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 42 2.93 6.93 0.00% 56.0
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 33 0.24 7.36 0.00% 46.2
K6872 内視鏡的乳頭切開術(胆道砕石術を伴う) 25 4.32 9.24 8.00% 80.5
大腸のポリープ切除が最も多い手術となっています。内視鏡にて、ポリープ(隆起部)の形状や性状、正常粘膜との境界等をよく観察し、内視鏡の先端部から出した輪状のワイヤーをポリープにかけ、弱い電流を流し切除します。
次に鼠径ヘルニア手術です。直接鼠径部を切開して治療する手術方法です。具体的には鼠径部のヘルニアで腫れている所の少し上を斜めに約4cm切開して手術を行います。切開した部分からヘルニア内容をおなかに押し戻して人工物で固定します。腹腔鏡によるヘルニア根治術(TAPP法)も積極的に行っております。腹腔鏡手術は腹壁に小さな穴を数箇所開けて、腹腔鏡や鉗子等を入れ、お腹の中の様子をテレビモニタで見ながら行う手術です。
腹腔鏡下胆嚢摘出術は、腹腔鏡を用いて腹腔内ですべての操作を行い胆嚢を取り除く手術です。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 36 2.97 6.83 0.00% 71.5
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K802-21 膀胱脱手術(メッシュ使用) - - - - -
泌尿器科で最も多い手術は、膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)ですが、これは尿道から手術用の内視鏡を挿入し、病巣部を電気メスで切除します。開腹手術に比べ侵襲が少ないことが特長です。リンパ節への転移がなく、病巣の深さも粘膜の表面にとどまっている初期のがんが対象となります。

※10症例未満場合、-(ハイフン)で表示しております。

内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K597-2 ペースメーカー交換術 10 1.00 3.80 0.00% 79.1
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
ペースメーカー交換術ですが、ペースメーカーは内蔵されている電池によって動いています。電池の消耗には個人差がありますが、平均7~10年で交換時期となります。電池が切れてしまうと、ペースメーカーは作動を停止するため、ペースメーカー植込み前の状況に戻り、不整脈や心不全をきたし、めまい・意識消失・失神の発作が出現する危険性があります。従って、電池が切れる前に、ペースメーカーのチェックにて、交換が必要な指標を認めると交換手術が必要となります。

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乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 35 1.00 3.63 0.00% 63.1
K4764 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴う)) - - - - -
K4766 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施する) - - - - -
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) - - - -
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) - - - - -
近年の日本女性の悪性腫瘍のなかでは最も頻度の高い乳がんに対する乳腺悪性腫瘍手術です。
がんを含めた乳房の一部を、扇形または円形に切除して、乳房の正常部分をなるべく残す手術です。切除した組織を手術中に顕微鏡で観察して、がんの取り残しがないように確認しながら手術を進めます。
また、センチネルリンパ節生検を行なって、わきの下のリンパ節を切除するか判断します。手術時間は約1.5時間です。
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腎臓内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 54 0.61 2.30 5.56% 72.8
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) - - - - -
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) - - - - -
血液透析では、一度にたくさんの血液を体外に取り出して器械できれいにするため、人工的に動脈と静脈をつないだ血管(シャント)が必要になります。週3回の血液透析を続けていると、シャントはときに狭くなったり(狭窄)、つまったり(閉塞)することがあります。そのような状態では、透析の効率が落ちて通常より時間がかかるようになったり、透析ができなくなったりするため、透析患者さまにとって致命的な状況です。
当院では、シャントの狭窄及び閉塞に対し、経皮的シャント拡張術・血栓除去術を行っています。経皮的とは、皮膚を大きく切開することなく、血管内に細い管(カテーテル)を通して治療を行うという意味で、先端に風船(バルーン)についたカテーテルをシャントの狭窄部に進め、そこでバルーンを膨らませることによって競作部を拡張します。局所麻酔で30分~1時間と短時間で治療ができるため、身体面の負担が少ないことが特徴です。
カテーテルを用いた血管内治療を適切なタイミングで行うことで、一度作ったシャントをメンテナンスしながら、長期間使用することが可能になります。
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その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 3 27.27%
異なる 8 72.73%
180010 敗血症 同一 13 28.26%
異なる 33 71.74%
180035 その他の真菌感染症 同一 0 0.00%
異なる 4 100.00%
180040 手術・処置等の合併症 同一 66 92.96%
異なる 5 7.04%
上記の傷病は、いずれも一般に、手術や処置などの医療行為に伴って合併症として発症することが多いとされるものです。もちろん日常生活の中で発症する場合もあります。
DPC制度では、「入院の契機となった傷病名」と入院中「最も医療資源を投入した傷病名(医師が中心的に診療した疾病)」をそれぞれ記録する必要があるため、両者が同一か異なるかで、院内で発生した合併症かそうでないかをある程度判断することが出来ます。
上表は、両者が同じ場合を「同一」、異なる場合を「異なる」と表示し、区別して集計したものです。
播種性血管内凝固症候群や敗血症では、「異なる」とした件数の方が多くなっていますが、重症の患者さまや複数の疾患をお持ちの患者さまは一般に合併症を起こしやすい傾向にあるため、単純に発生率が高いことをもって医療の質の良し悪しをいうことは出来ません。
合併症は、起こさないようにどんなに注意を払っても、日常生活や治療に伴って一定の確率で不可避的に発生するものであると言われています。当院では、万一合併症が発生した場合でも迅速に対応できるよう努めております。
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